匿名さん
全国最大の指定暴力団山口組(総本部・神戸市灘区)が昨年8月に分裂して5カ月。
懸念される抗争もなく、小康状態で越年したが、離脱派が結成した神戸山口組による傘下団体取り込みの動きは止まず、事務所に車が突っ込んだり火炎瓶のようなものが投げ込まれたりするなど不穏な兆候もある。捜査員が「最も(抗争の)危険が高まる時期」と口をそろえる「分裂から半年」が近づき、双方の緊張は高まっている。
直系組長ら中心の新年会、初詣も短時間
記録的な寒波が襲った今月25日。山口組総本部にワゴン車や黒塗りの車が次々と集結した。篠田建市(通称・司忍)6代目組長の74歳の誕生日祝いを兼ねた新年会だった。
篠田組長は午前10時前、新幹線でJR新神戸駅に到着。赤色タートルネックセーターに紺色ジャケット姿。直系組長らに囲まれながら歩き、出迎えの車に乗り込み総本部に入った。
捜査関係者によると、昨年は山口組創立100周年を祝う形で全国の親戚・友好団体の幹部が多数訪れて盛大に行われたが、分裂後初開催となる今年は直系組長らが中心。時間も1時間程度と例年より短縮され、粛々と行われた。
篠田組長らは元日には総本部近くの神社で例年通り初詣も敢行。ただ、ここ数年は一般参列者の列に並んで参拝していたが、今回は本殿近くに車を横付けして短時間で済ませた。突発的な事態に配慮する一方、内外に一定の存在感を示す狙いもあったとみられる。捜査員は「参拝をとりやめて『弱気な姿勢』という印象を持たれることを懸念したのだろう」と推測する。
別の指定暴力団の幹部も招き、元幹部直系組長に迎え入れる
一方の神戸山口組。大みそかに有力団体・山健組(神戸市中央区)の関連施設に幹部らが集まって会合を開き、今月8日には直系団体・侠友会(兵庫県淡路市)の本部事務所で新年会を開催した。
捜査関係者によると、新年会には別の指定暴力団の幹部も招かれたほか、解散した大阪府内の山口組直系団体の元幹部で、別の直系団体に所属していた組員が、新たに神戸山口組の直系組長として迎えられた。トップの井上邦雄組長を除く神戸山口組の直系組長は現在、当初の13人から22人に拡大したとみられる。
続く小競り合い…「暴力団の本質は変わらない」
分裂後、両組織の関係者による小競り合いは続いている。昨年12月18日、大阪市浪速区の山口組直系団体の傘下団体事務所に車が突っ込み、今月9日には福岡市中央区の山口組直系団体の本部事務所に火炎瓶のようなものが投げ込まれた。
両組織の関係者同士のトラブルが背景にあるとみられるが、組織を挙げての抗争に発展する気配はない。だが捜査員の間には「分裂から半年が最も危険」との共通認識がある。
山口組3代目組長の跡目をめぐり組織が二分された「山一抗争」(昭和59年~平成元年)では、離脱した一和会が激しい切り崩し工作で追い込まれ、分裂半年後の昭和60年1月に山口組トップの4代目組長らを殺害。山口組も徹底的に報復し、一和会を解散に追い込むまでに双方で死者25人、一般人や警察官を含む負傷者70人以上を出した。
今回は神戸山口組側が着々と組織固めを進めている上、山一抗争後に新設された暴力団対策法や組織犯罪処罰法が暴力団の手足を縛っているが、別の捜査幹部は「暴力団の本質は変わらない」と警戒を強める。
他の有力暴力団にも影響は広がっている。山口組、住吉会に次ぐ全国3番目の規模を誇る指定暴力団稲川会(総本部・東京都港区)では今月上旬、有力直系団体を率いる幹部2人が破門処分になった。
稲川会は山口組と友好関係にある。破門処分と山口組分裂との関係は不明だが、関係者によると、2人は神戸山口組を率いる山健組の井上組長ともともと交友関係があったという情報もある。
警察庁によると、昨年9~12月に全国の警察は双方の組事務所計118カ所を捜索、161人を摘発した。今月13日、分裂後初めて両組織の拠点を抱える兵庫県警を訪問した金高雅仁・警察庁長官は「この機を逃すことなく双方を弱体化し、壊滅につなげるべく全力を尽くしてほしい」と捜査員に檄を飛ばした。
「山口組」vs「神戸山口組」 もっとも危険が高まる「分裂から半年」近づく - ライブドアニュース
指定暴力団山口組が15年8月に分裂して5カ月が経過しようとしている。捜査員の間には「分裂から半年が最も危険」との共通認識があるという。続く小競り合いに捜査幹部は「暴力団の本質は変わらない」と警戒を強める

