匿名さん
相次ぐ80代ドライバーの事故 「認知症のおそれ」でも免許更新可、家族の申し出でも取り上げられず | デイリー新潮
ピーク時の年間約100万件から半分近くに減った交通事故。飲酒運転の厳罰化など、様々な取組の成果だが、それに逆行して急増したのは、高齢者が“加害者”となるそれだ。…
■“自分は大丈夫だ”
東京大学大学院医学系研究科の岩坪威教授(脳神経医学)は言う。
「加齢に伴って、運動能力やとっさの判断力が低下します。また、視覚認知能力も衰える。もちろん、認知症のリスクも高まります」
つまり、車の運転にはどんどん不向きになる。そして日々、これら高齢者ドライバーと向き合っている“当事者”にとっては、危機意識はより切実だ。
「共通しているのは、“自分は大丈夫だ”と自信を持っているということです」
と言うのは、都内のさる自動車教習所の教官である。
70歳を超えれば、運転免許証の更新の際、教習所で「高齢者講習」を受けるのが義務になる。ビデオなどによる交通ルールの再確認、機械による動体視力や夜間視力の検査と並び、実車もそのひとつだけれど、
「高齢者の事故が報じられていても皆さん“どうして逆走なんかしちゃうんだろうね”“アクセルとブレーキなんて踏み間違えないでしょ”と自分は別だと考えている。でもそういう中にも逆走や踏み間違えを行い、それにすら気が付いていない方がいます。こちらに指摘されて初めて気が付きますが、それでも“ここは初めてだから”“教習所内のコースは幅が狭いからね”などと自分のミスを認めたがらない人が多いですね」
運転技術と共に謙虚さも失われるということなのだ。
「中でも、絶対に運転させない方が良いと思うのは、技術うんぬん以前の方。“どこに行けば免許更新できるんでしたっけ?”とか“俺は毎年、郵便局で更新しているんだけど”など、そもそも日常生活も心配になる方が来て、平気で車に乗っているのです」
■落第にして!
しかし、そうした人々にも免許の更新は約束される。
「この手の方には、ご家族が付きそっていて、本人がいないところで“更新できないように落第にしてほしい”と懇願されるケースがあります。しかし、高齢者講習とは、合否を問うものでなく、講習課程を終えれば、終了証明書が発行されるもの。どんなひどい結果が出ても、免許を取り上げる権限はありません」
一方で、75歳以上になると、更新の際、先の高齢者講習に加えて、「講習予備検査」なる認知機能の検査を受けさせられる。この結果によって、受講者は「問題なし」「低下している」「認知症のおそれ」の三段階に分類されるけれど、
「仮にこれで『認知症のおそれ』と判定されたところで、免許の取り上げとはなりません。その後、事故や違反を起こした場合のみ、医師の診断を受けさせられ、そこで認知症と認定されて初めて取消となるのです」