匿名さん
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「お前たちのせいで、こうなったんだろ」。2018年冬、神奈川県厚木市。寝室のベッドに座ったイラン人男性セイフォラ・ガセミ(50)は、長男ファルハッド(16)が泣きながら発した言葉に一瞬、我を失った。息子が父である自分に向かって「お前」と発したことは一度もなかった。
ファルハッドは市立中学校を卒業し、県立高校へ進学した。地域のバスケットボールクラブに参加する傍ら、大学受験のための勉強を続ける。オープンキャンパスにも参加し、社会学を学び将来は貿易関係や旅行関係で働きたいと思っていた。
大学進学に当たり奨学金を探したが、仮放免では申請資格さえない場合が多く、自分では解決のしようもない環境が圧力として16歳の心をむしばむ。
「父の気持ちを理解しようとしたけれど、理解したら本当に帰ることになるのではないかと思ってしまって。奨学金問題もあり、たまっていたものがこみ上げてキレてしまったんです。父がなりたくて不法滞在になったわけではないこともわかっています」。ファルハッドは少し後悔しながら当時の気持ちを整理した。


