匿名さん
しかし、このペース(年間6.4%減)で少子化が続くと、半減するまではたった10年しかかからない。少子化がこれまでの4倍の速さで進行しつつあるのだ。今後10年間で出生数が半減「最悪の悪循環」の正体
少子化が加速している。厚生労働省が5月24日に公表した人口動態統計によると、2024年1~3月に生まれた赤ちゃんの数(出生数)は、前年同期比で6.4%も減少した。昨年2023年の年間出生数は、75万8631人と統計開始以…
これは、若者の意識変化にも如実に現れている。
就職サイトのマイナビが5月20日に発表した調査では、20代正社員の男女のうち25.5%が「子どもは欲しくない」と回答。欲しくない理由については、「お金が足りない」「増税・物価高の中、自分のことで精一杯で育てる責任が持てない」など、金銭面の不安を挙げる人が多かったそうだ。比較的収入が安定している正社員を対象にした調査であるにもかかわらずだ。
少子化が進むと働く人の割合が減る。働く人の割合が減れば、当然、提供される物やサービスの総量も減る。どんなにお金を貯めていても、必要としている人全員に行き渡ることはない。結果、物価が上昇するので、「老後の必要資金」は増えることになる。
5年前、2000万円必要だとされていた老後資金は、今では3000万円とも4000万円とも言われている。
この悪循環を止めるには、「子育てすると、老後がより不安になる」という状態を断ち切る必要がある。
子育て支援政策は最優先でおこなうべきだが、これまで本格的な支援をしてこなかった代償は大きい。その理由として、財源の問題がある。
「今後の高齢化による社会保障費の上昇を考えると財政赤字を増やせない」という理由は、正しそうに聞こえる。しかし、社会保障の前提になっているのは、「医療や介護をする人が十分に存在する」ということ。働く人が足りなければ、社会保障費を使う先が存在しないのだ。
財源を理由に、人を育てることをいつまで後回しにするのだろうか。
現在推し進められている資産所得倍増計画についても、「NISAを利用して自己責任で老後の不安に備えてくれ」というメッセージにも受け取れる。
たしかに、金銭的な不安が競争原理を働かせ、社会を成長させるという側面もある。しかし、それはお金を得る目的の競争においてのみ有効だ。
金銭的な不安によって、学業に励むことや子どもを産み育てることが困難では、社会全体が沈んでしまうのではないだろうか。